テロメアの長さは細胞分裂回数限界に影響する?

Q.テロメアが短くなると老化が進む具体的なプロセスを教えてください。

 
A.テロメアが短くなると細胞分裂できる回数が減少して、結果的に老化の進行につながると考えられています。

 
糖尿病などの慢性病や心血管系疾患、肺の病気、免疫機能不全、神経変性疾患、ある種のガンなどのサイレントで年齢を重ねるほどなりやすい疾患は、発症までに数十年を要し、これらの病気は健康や寿命を終える主な原因となっています。そしてこれらの病気を今後引き起こすバロメーターとなる可能性の1つとして「テロメア」があります。

 
細胞には、細胞分裂して複製される回数が決まっており、この回数がテロメアの長さに相関しているとされており、つまりはテロメアが短いほど細胞分裂の回数限界が減少していく(複製老化)と考えられています。そして、テロメアの短縮が細胞を老化させ、老化した細胞が数十年かけて蓄積して、相応の量になった時に疾患組織の土台になるのです。

 
* 細胞が細胞死までに分裂できる回数が決まっていることを「ヘイフリックの成長限界」と言います。1961年に生物学者レナード・ヘイフリック博士とムーアヘッド博士の2人が、線維芽細胞を培養すると、ある回数だけ分裂した後に分裂が停止することを発見しました。

 

ただ、人体の各場所に散らばる細胞の大元である幹細胞などの数種類の細胞では、短くなったテロメアの部分が「テロメラーゼ」という酵素の働きで元に戻っていくことが分かっていますが、その他の細胞では短縮が続いていきます。そして、ある水準を超えると細胞は分裂をやめて、細胞老化の状態に入るか、アポトーシスを起こして死んでしまうのです。

 
1. 細胞分裂(複製)するたびにテロメアは少しずつ短縮する。
2. テロメアは細胞が適切に分裂できない地点に達するまで短くなる。
3. 複製限界まで達した細胞は、細胞老化を起こすかアポトーシスに入り死滅する。

 
上記のように、テロメアの長さがある一定の短さになった時、細胞の老化がスタートして、細胞がガンなど加齢によって生じやすい疾患を発症する可能性が高くなると言われているのです。このことは、約80年間にわたる様々な臨床研究の結果として、これまで膨大な数の論文が発表されており、テロメアの長さがこれらの加齢に応じて発症しやすい疾患を診断する際に重要なバイオマーカーになることが分かっています。

 
また、テロメアの長さは、遺伝的・環境的、その人自身のライフスタイルに関連があることも分かっており、とくに遺伝で決まるテロメアの長さよりも、肉体面の健康(運動・栄養)、精神面の健康(ストレス管理)、生活習慣(行動習慣や睡眠の質・長さなど)といった個人のライフスタイルを含む環境要因を改善することでテロメアの長さに影響を与えることの方が重要視されています。

 

下記は、「LIFE LENGTH」社のテロメアプログラム資料を参照して記載した内容ですが、このようにテロメアの長さはライフスタイルの影響を大きく受けます。

 
運動
一般的に、週に3~5セッションの適度な運動でテロメアの長さに良い影響が出ると考えられており、逆に過激な運動は活性酸素が増加してしまうなど有害な可能性があります。
 
食事
とくに、地中海食を構成する多くの食品が、老化の遅延をサポートする抗酸化物質を豊富に含むとされています。
 
喫煙習慣
テロメアの短縮率は喫煙者の方が高いことが分かっており、たばこの喫煙量はテロメアの長さと負の相関があることが示されています。
 
瞑想
定期的に瞑想する人は、メンタルヘルス、血圧、およびバイオマーカーの測定値が瞑想しない群に比べて優れていることが分かっています。
 


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